前回までのページ
レッスン1へ

レッスン2へ

レッスン3へ

レッスン4へ

レッスン5へ

    いろいろな機会を得て、色エンピツ画のレッスン
   を続けておりますうちに、私なりの技法、絵を描く
   ということ、などをまとめて楽しい本にしてみたい
   と考え、講座講師を機に、限定本(50部)を作りま
   した。
    今回はこれを元に新たに改定しつつ、一ヶ月に一
   回程度のペースで更新する予定です。ぜひ通信講座
   のつもりでご参加下さい。(無料)
   出来た作品を送信いただけば、サイト上で発表の上
   出来る限り添削する方針です。      
       
         

 ふとした何かの折に綺麗なものを見て、あっ、これ残しておきたい、と思うことがあったとしたら、そして、これを絵に描けたらな、と思うことがあったとしたら、その人はもう絵を描けるのだと思います。

 


 


 


    はじめに、この講座について

 この講座は、いわゆるマニュアルをお教えすることを目的にしてはおりません。全く絵を描いたことのない人でも、描き始められるようにということには配慮したつもりです。また色エンピツ画を描くための基本的と思える技法についても書いていくつもりです。でも全般にわたって、私が考えるのは、これを通して、絵を描くことの楽しさ、描くことを通して得られる豊かな時間を知っていただきたいということです。ネット上でアナログ仕事の楽しさをお伝えするという、おかしさも感じますが、広く見ていただけるというネットならではの良さも感じています。


  色エンピツの楽しみ

 色エンピツは簡単なスケッチから本格的な絵の制作まで自在に楽しむことの出来る画材です。でも、色エンピツの一番の魅力は携帯にも楽で、どこでもいつでも気の向いた時にすぐに描き始められる、ということだと思います。

色エンピツによる絵を魅力的なものにするのには、これを他の画材の代用品にしないことです。クレヨンやパステル、えのぐを使って描いた方が良いような使い方は避けた方が良いと思います。

「エンピツ」であることの魅力を忘れないことです。ですから、面を描くにしても線を生かして描いていくようにします。時にはある色を強く塗り込める場合もありますが、それが他の部分に描かれた線の部分と対応して美しく見えるといった描き方をする、ということになると思います。さて、まずは始めてみましょう 

   !でも、そのまえに...

    

                  


   色エンピツのいろいろ

 色エンピツといえば昔からあるものは、水にとけない油性のものが主でしたが、最近は水性のものも流行しているようです。これは描いてから筆を使って水彩画のようにすることもできたり、部分的に水彩のように描いたりも出来るというもので「水彩色鉛筆」とも言います。これはその性質上、軟らかめですので普通に使った時にも描き易い硬さのものが多いのですが、当然のことながら描いた後は、水彩画と同様に、水に濡れないようにする、あるいは、保護のスプレーをするなどの処理は必要です。(水性については、また別の機会にまとめて。)

 さて、ここでは昔からの油性のものを前提にして話を進めていくことにします。

 色エンピツはそのメーカーによって、色調も硬さもさまざまですが、画材屋さんをのぞくのは楽しいものですから、あちこちで見てみると良いと思います。

 日本製の他にはドイツ、スイス、イギリス系などが多いようです。また、握りの部分の丸いものと角のあるものがあります。丸い方が手に優しいと感じる人、コロコロころがってしまうのがいやだと思う人、いろいろだと思います。

 色は、とっても沢山のセット(60色、120色など)のもありますがバラ売りのもあるかどうかを確かめてから、36色前後のものを持てば充分かと思います。気に入った色調のもので選んで買ったからといって、必ずしもほしい色が全て入っているとはかぎりません。使っていくうちに自分のほしい色をさらに少しずつ買いたしていくのも楽しいことです。硬さはその人の手の力ということがありますから、試してみて買うのが一番です。

 でも、もしもすでにお持ちの12色の、なんていうのがあるのでしたら、もちろんそれで始めてください。日本製の昔のものなどで品質はおそらく良いとは思えないのに、今のものより色調のとても良いものなどがあったりして驚くこともあります。

紙のこと

 紙はそれこそ、どんなものに描いてもよいわけですが、せっかく贅沢な時間を使うのですから、ちゃんと選んで使いましょう。色エンピツの性質がわかってきたら自分でいろいろに試してみるのが良いと思います。紙を手にとって見るとわかりますが、ザラザラからスベスベまで、また手漉き、機械漉き、いろいろですが、私自身は厚手のケント紙が線の魅力を一番損ねない気がして、大抵の場合これを使います。ですがこれは、むしろ邪道と思う方が多いと思います。良い意味での「ごまかし」がききにくいということがあります。また、エンピツの硬さにもよりますが、その他の画用紙(目の粗いものから細かいものまで)の、最初は「中目」のものが良いでしょう。いずれにしろ、どんな風に描きあげたいのかで選んでいくことになります。

 紙には一枚ずつ買うものとスケッチブックのように綴じたものとがあります。これも好みですが、一枚ずつパリッとはがれる背糊のブロック状のものが使いやすい気がします。

 紙には色のついたものもあります。雰囲気を出し易いということもありますが、安易には使いたくないものです。むしろ使い方の難しいものと考えておく方が良いと思います。

その他の用具のこと

 これこそ描く方法によってさまざまですので必要に応じて説明しましょう。基本的には「失敗した線を消す」ための消しゴムは使わずに描いていくようにしたいのですが「消し描き」(後述)のためにも使いますから、取り敢えず、消しゴムを一個、そしてエンピツけずり、を。

さぁ、それでは描いてみましょう。となるところですが、本と違い目次を付けていませんので、このあとの実践講座についての構成を第一回を例にして、ご説明しておきます。

モチーフ(題材)を描く前に、エンピツの使い方のデッサンで「線を引いてみます」そしてそれだけでも出来る楽しみ「こんなふうにも」ではハガキを作ります。

モチーフを描きます。「ティータイム」そして、毎回そこでの「ポイント、レッスン」(構図について)と「絵を描くということ」について(「描きたいものは何?」)

 まあ、ともかく、始めましょう!次回すぐ!

       

       


レッスン1  デッサン 1 線を引いてみます。





どうでしょう、楽しい縁飾りが出来ましたでしょうか。真ん中は真っ白のはず。この紙はまた使いますから、取っておいて下さいね。

  こんな風にも 

縁飾りのこの方法で、ハガキや一筆箋やティータイムのマットや懐紙を作って見てください。                          


   さて、ではいよいよ絵を描きましょう!

  モチーフ(題材) 1 「ティータイム

紙は真っ白。なんだか描きだすのにちょっと勇気がいります。だからまず、「空気」から描いていきましょう。好きな色を 3色選んでください。なるべくお互いに離れた色が良いでしょう。エンピツの頭を軽ーく持って...

鼻歌を歌いながら、紙の上に軽ーく、エンピツをいたずらに滑らせてください。さあ、これで紙が「美しく汚れ」ましたか?

ではその上に今日のモチーフを描きましょう。

 ポイントレッスン 構図について

 紙の中にどんな風にモチーフを入れるか(これを構図を決める、と言います)。構図のとり方にきまった方法はありません。あなたが一番描きたい部分を、中心に置こうと考えて下さい。

 一部がはみ出してしまっても良い場合もあります。でも今日のところは、取り敢えずバランスの良い配置ということを配慮してみましょう。

 さて、自分に一番バランスが美しいと感じられる配置が決まったら、まずはモチーフをよく見ながら好きなように(これが難しーい!と言う人も、ともかく誰にも怒られないのですからはじめましょう)描いてみてください。

 途中で時々はなれて、立って見たり絵を立てかけて見たりして。そうそう、小休止のお茶のためにあらかじめティーバッグを一つ取り除けておいて下さいね。では始めてください。あなたが集中力のある方なら一時間半くらいで楽しい絵が出来るでしょう。ちょこちょこ休む人はそれをプラスして...

  絵を描くということ 「描きたいもの」は何?

 「あっ、これ描いておきたいな」と思う。でも、なぜ描きたいと思ったのでしょう。それを自分にはっきりさせる、というのは最初はとっても難しいかもしれません。

一輪の薔薇をもらって「あぁ、これが描けたらなぁ」と思うその時、それは、その花の深い赤い色、みごとな花びらの立体的な重なり、瑞々しい葉の艶、いずれのせいなのでしょう。でも、もしかしたら、その甘い香りのせいか、それを手渡してくれた人のせい、だったかもしれないのですから。

描くことを通して自分には何がよく見えるのか、どんなことが大切に感じられるのか、といった事にあらためて気付くことがあります。

       

レッスン2    デッサン-2 「格子柄で色あそび」

     

 エンピツを端から取って格子柄を描いてみましょう。次々に違う色で。軽く普通にエンピツをすべらせて。                         次に最初の線と反対の色でちょっとずらして重ねてみましょう。(例えば箱入りのエンピツなら左から取っていった後で、右からまた始めるという風にしても良いですね。その場合似た色が重なってきたりする場合もありますが、それはそれで面白い発見になるかもしれません。)

 さて、これだけでも綺麗ですが、この格子の中にいくつかちょっと強く色を置いてみましょう。どんなバランスで置くかはあなたのセンスです。

     

 こんな風にも

 これもまたハガキなどにしてみましょう。その時格子の中に入れる色は、きれいな紙(いろ紙や小花柄の包装紙など)を小さく切ってコラージュしてみても楽しいものになります。


   モチーフ-2 「プレゼント」

今回の「空気」は描こうとする物の中心になる色と反対の系統の色ということを意識して使ってみましょう。ストロークの調子も変えてみて...。

  
 ポイントレッスン 「色エンピツの使い方」

 エンピツは普段鉛筆を持つ時のように、軽く、力を入れたくない時は少し上の方、強く塗りたい部分などは芯に近い所を持って使います。
色エンピツは強く塗ってしまうと、上に色がのりません。色を混ぜたい時は薄く描き重ねるか、ハッチング技法(後述)で描きます。
 エンピツで輪郭を全部描いてから色をつけるという「ぬり絵」にせず、形も面も背景も一緒に描いていきましょう。構図の目安、形の目安をつけるのも色エンピツで。好きな色か、モチーフの雰囲気に合った色で。
私は絵を単調にしないために、かえってモチーフから離れたいろを使う場合もあります。試して下さい。

 絵を描くということ 「描くことと、描かないこと」

 色エンピツにも本当にさまざまに描かれた作品があるのは他の、例えば油絵などとも同じです。でもそれぞれの画材には、やはりそれにふさわしい画風といったようなことがあるように思います。色エンピツで重厚な油絵のような作品を描こうと思ったりはしないと思います。
 私は色エンピツは、ちょっとシャレて粋に表現することに、とても向いているような気がします。それには隅々までガッチリと描くのではなく、描こうとするものの一番魅力的なところを、描くことの中心にすると良いと良いと思います。それは、いい加減に描くということではありません。
描かない部分をちゃんと残すのはとっても難しいこと、だと思うからです。

     

ではここで夏の一枚から...(これも大きくして見て下さい)
レッスン3
  デッサン-3 「色見本を作る」

デッサン-1の紙をもう一度使いましょうか。(-1参照)
色見本を作りましょう。

    

 まず暖色系(黄、オレンジ、赤の系統)で 5、6色縦方向に向かって、、斜めに平行線を描く感じでエンピツを使います。
その次に寒色系(グリーン、ブルー系統)で、やはり同じように、今度は重なるところが斜めの格子になる方向のタッチで...。紙の方向を変えて描いてもかまいません。きれいなのが出来ましたか?
 このようなタッチによって描く方法を「ハッチング技法」と言います。

  こんな風にも

新しい色エンピツを持ったら(えのぐの時も同じですが)私はそれの一つ一つがどんな色なのか知っておくことと、使った感じをつかむためにも、色見本のようなものを作ることにしています。濃淡や線の調子をあれこれと混ぜてみたり...。それに、色の傍らにその色の名前を入れていきます。sky blue とか lemon とか。出来上がったものは、ちょっとした詩の世界。 机の前に張って楽しんでください。
  
   モチーフ-2 「ジュースを飲んで...」

         
 ポイントレッスン 「ハッチング技法について」

 芯の先を使って平行線のタッチで面を描いていく方法のことを言います。これは特に色エンピツのための技法というわけではなく、テンペラ、油絵、また特に銅版画で、ヨーロッパでは昔から普通に使われている技法です。
 芯の太い、細い、平行線の密度、平行線の流れなどによって面の濃淡、方向や形を表現するのに優れています。またこれを交差させて使うことをクロスハッチングといって、これは色の混合などで透明感のある面を作ることが出来ます。
 特に色エンピツの場合、濃く塗ってしまうと(レッスン-2 の「色エンピツの使い方」参照)更に別の色をのせても混ぜるのは難しいのですが、この方法で美しい混色を作り出すことが出来ます。ですがこのタッチばかりで描いたものは、これはまたちょっと窮屈な印象になることがあります。ですから普通はやわらかい線によるハッチングを混ぜたり、部分的に使うことで描いていったりします。自分なりの工夫をいろいろ試して、取り入れていただきたい技法です。

  絵を描くということ 「時間を楽しむ」

 時間の無い時にも、開きかけの花を見たりして、あっ、ちょっと描いておきたいということもあるかもしれません。それはそれで大切なことですが、絵を描く楽しさの一つはゆっくりとした時間を楽しむことでもあると思います。30分しかなければ、その30分にふさわしいものを描いて(全部を描かなくても、開きかけのそこだけを丁寧に、とかで)描く間は急がないでください。急いで描いたものは「急いだ絵」になってしまいます。(旅先でのスケッチについてはまた後に)

     

ではもう一枚...(これは大きくして見て下さい)

    

                次回につづく...

レッスン4   デッサン-4 「点描」

 画面をざっと四等分くらいにして(もっと細かくても良いですよ)、点描のいろんなタイプのものを描いてみましょう。
 春、夏、秋、冬と考えて色を選んでください。

      

  こんな風にも

 ずっと線を生かして描いてきましたが、ここで、ふわっと色をおくこともしてみましょう。例えばシフォンの布を思い浮かべてください。 
 エンピツを軽く、寝かせて持ってうっすらと色をつけ、この上から線や点を描いてみます。またガラッと違った雰囲気が出てくるでしょう。
 この、土台にする色ですが、化粧品(頬紅、アイシャドーなどのパレット状のもので使い残りのものなど)を一緒に使ってみてください。
パールのものなど、とっても素敵です。これはちょっと邪道ですが、絵を描くには、どんどん邪道を試してみたいものです。




   モチーフ-4 「午後のひととき」 


  
 ポイントレッスン 「材質感について」

 良く見て描いているつもりでも、途中でちょっと離れて見てみると、ビンも葉っぱも布も、全部同じ調子になっていませんか。硬いビン、艶やかだけど柔らかい葉、布。それぞれの持ち味を表現するのに、今まで練習してきたいろんな線や点を想い出して描き分けるようにしてみましょう。


  絵を描くということ 「モチーフを選ぶことについて」

  自分が「もの」をどう見るか、自分は普段どんなものに心惹かれ、良く知っているのか。植物のことなら、色の配合なら、人の顔なら忘れたことない、といったような「得意なこと」というのがあると思います。
 自分には何が良く見えるのか、というのは絵を描く時の重要なポイントです。そして見えたものを表現する、それについて今ここで練習しているわけですが、この「表現する」ことを通してまた新しいものが見えてくるという逆のことが出てきますし、それが新しいことを始め、そして、続けていくことの大きな魅力であるのは言うまでもありません。
     

ではもう一枚...「秋の夜長に...」

                次回につづく...
レッスン5   デッサン-5 「消しゴムを使う」

 消しゴムをつかってみます。でもこれは失敗した線を消すためではありません。
 最初に調子(薄いの、濃いの)と、色を替えながら色面をつくります。その上に、格子や縞や円を描くようなストローク(筆使い)で消しゴムの角を使って描いてみましょう。色で描くだけでは出来ない調子を作ることが出来ると思います。
私はこれを「消し描き」と言っています。
 

  こんな風にも

 ステンシルを使って消すことも出来ます。ステンシルは自分で好きな形を、固いボール紙や薄いプラスチック板をカットして作っても良いですし、細かい形をカットしたものも売っています。それを色面に当てて消しゴムを使います。柄を描きたい時もですが、ハイライト(ピカッと光った部分)を後から描き加えたい時などに便利です。ただ私自身はテクニシャンではないので、今までのところ自分の絵ではこの市販のステンシルは使ったことはないのですが...。
   モチーフ-5 「林檎」 

 
  ポイントレッスン 「ハイライト」

 ハイライト部分は前述のように、描いた後から消しゴムを使うことも出来ますし、最初から残して描いていくこともあります。強調したいときは、その周りをほんの少し強く描くことで効果が出ます。
  
   絵を描くということ 「人に見てもらう」

 絵を描くことは自分が楽しい時を過ごすということではありますが、表現というのはそれを人にも見てもらい、評価を受ける、そのこともまた、おおいに楽しいことだと思います。(あんまり口の悪い夫や息子達だと逆効果になることも...?)
人がどんな風に見てくれるかということ。自分には思いもかけない感想で勉強になることがあったり、すっかり嬉しくなってまた次の力がわいてきたり。何回展覧会をやっていても毎回経験することです。
 サインをして額に入れてみるというのも、自分の絵がまた違った風に見えたり、客観的にも見ることができ刺激になります。それに俄然素敵になったりも..!

     




                *****

 さて今回で、5 回にわたって書いてきました講座は一通り終わりになります。
次回からはエピローグとして、いくつか他の技法についてなどを書いておきたいと思います。質問などございましたら、掲示板上でも、メールにてでも、お寄せください。お待ちしています。

                             次回につづく...            

ページトップへ

時の泡*言葉の雫